
※今回記録を出したTGV V150 ALSTOMのHPより転載
時速574・8キロ 仏TGV、レール走行世界最速
【パリ=山口昌子】フランス国有鉄道は3日、高速鉄道TGVが試運転で、レール上を走る車両付き
列車として世界最速となる時速574・8キロを記録したと発表した。日本の磁気浮上式リニアモー
ターカーが2003年に有人走行で記録した時速581キロに肉薄した。
TGVは1990年5月に時速515・3キロを記録。今年2月中旬の試験走行で553キロに達し
17年ぶりに記録を更新したと仏紙が報じていた。シラク仏大統領は3日、「素晴らしい成績だ」と
述べ、記録更新を祝福した。新記録を樹立した車両は秒速150メートルのところから「V150」
と命名された。
車体を製造したフランスの鉄道会社の社長は、「今回の結果は将来のビジネスにつながる成功だ」と
指摘。新記録を出した試運転車両にはブラジル、中国、インドの代表団が試乗していたことを明らか
にし、これらの国が車両輸入を視野に入れていることを示唆した。
(産経新聞 2007年4月4日)
フランスは昔から、電車の速度記録を達成するのが大好きです。
日本の新幹線の場合は、通常、営業運転を行う前に、その準備として、予定速
度の1~2割増しの速度が達成できるのを確認する事で、予定している営業速
度が余裕を持って達成できるのを確かめているという感じです。
(勿論、EAST21、WIN350、300Xと言った、速度試験車が無い訳ではありません。)
あまり、速度記録を塗り替える為のテスト。速度記録の為のテストは、あまり
やりません。
これに対しフランスは、速度記録達成の為の試験走行というのを良くやります。
蒸気機関車時代は、フランスは記録的にはあまり冴えず、イギリス、ドイツの
後塵を拝していたのですが、電車になってからは常に速度記録を取りに来ます。
1955年以降、フランス以外が電車スピード記録を取ったのは。ドイツのICEが、
1988年5月に出した406.9km/hですが、その年の12月には408.4km/hをTGVが出し
タイトルを取り戻しています。以降は、フランスがTGVでスピード記録を塗り
替え続けている訳です。
1989年12月5日には大西洋線で482.4km/h
1990年5月18日に同じく大西洋線で515.3km/h
以降非公式の記録更新がありましたが、公式のものとしては今回の記録、即ち
2007年4月3日にTGV東線で出した574.8km/hが最終のものとなります。
(日本の新幹線は、1996年7月26日に出した443km/hが最高となっています。)
勿論、路線、架線、電車等々全て特別製です。ですから、営業運転をする列車
とはかけ離れたものになってしまいますが、記録としては素晴らしい数字が実
現できます。
今回の場合は、現在建設中のTGV東線の直線コース80kmを使用し、列車は
V150と言う5両編成の特別車両です。この車両は電気機関車を三両の客車
の前後に配置したプッシュプル方式でTGVとしては在来型のものです。TGVでも
速度350kmの営業運転を目指す次世代列車では新幹線と同じ電車方式を取る予
定ですが、速度記録用には、プッシュプル方式の方が路面にかかる重量を増加
でき、また、16両の大編成用の馬力を小編成に全て利用できるのでスピード記
録には有利です。今回はそれに加えて、送電する電力を25,000Vから31,000Vに
する事でモーターの馬力を25,000馬力以上に上げています。車輪の直径も大き
くしている他、線路もカーブでの傾斜を通常よりも大きくしており、また、線路の
摩擦係数を高め車輪の空転を防ぐ対策を取っています。記録ビデオを見ると、
パンタグラフから盛大に火花が出ており、恐らく架線も通常のものより太くし
て、高速走行時の摩擦で架線が断線するのを防いでいる模様です。
何から何まで特別製にする事で記録に挑戦している訳ですが、勿論、記録以外
にTGVの営業効果も狙っています。今回の試験列車には、ブラジル、中国、イ
ンドの代表団の他、高速鉄道を計画中のカリフォルニア州の議員も乗車してい
たようです。
こういったセールスの部分は、フランスが本当に得意とする部分です。
恐らく日本では危険だからと技術サイドが拒否するだろうと思いますが、日本
の新幹線を広く世界に売り込みたいと思うのであれば、速度記録試験のやり方
(建設中の新線を使う事で、特別の速度記録用設定が可能になる)も含め、
是非フランスを見習って欲しいものだと思います。


by ysaki777
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